いま私個人として、アルコール添加に関しては、
「きちんとした知識を得て、味わうべし!」というのが正確な思いです。
日本酒を飲む方でも、「日本酒は純米酒がイチバン!」とかたくなに考えている方もいらっしゃるかと思いますが、
私は、「純米酒は純米酒で、素晴らしいところがある。そして、吟醸酒・大吟醸酒・本醸造酒にはそれにしかない素晴らしいところがある。きちんと違いを勉強して、自分の『コレが好き!』を見つけられるのがイチバン!」と考えています。
では、詳しく特定名称酒から!
特定名称の清酒とは、吟醸酒・純米酒・本醸造酒を指し、それぞれ所定の要件に該当するものにその名称を表示することができます。
(なお、特別名称は、原料・製造方法などの違いによって8種類に分類されます。)
上の図を見ると、大吟醸酒・吟醸酒・本醸造酒・特別本醸造酒が醸造アルコール入りの日本酒となりますが、
現在、大吟醸酒・吟醸酒・本醸造酒を造る酒蔵さんのなかで、
添加するアルコールはアルコールでも、
あえて吟醸酒を蒸留させて質の良いアルコールを添加させている、すごいこだわりの酒蔵さんもあります。
私が知っている限りでは、滋賀県の太田酒造さんが全商品に日本酒からとったアルコールを使っていらっしゃいます。
特に、自社の「大吟醸酒」を蒸留したアルコールを一部商品につかっていらっしゃることは、特筆すべき点です。
一般的な醸造アルコールとは比べものにならないほど費用はかさみますから、そのこだわりが本当にすごいです!
さて、一般的な醸造アルコールとは、原料の大半はサトウキビが占めています。
ところが、お米を原料としたアルコールを、添加する酒蔵さんもたくさんあります!
酒造会社によって、自社で造る米アルコール(いわゆる米焼酎)があり、これは、梅酒につかうものと、同等の高品質のものです。
その、手間を惜しまないこだわりに、感動します!
それでは、なぜ醸造アルコールを入れるでしょうか??
そこには、しっかりとした意味があったのです♬
1.香りの引き出し効果があること!
香りの成分は水よりアルコールに良く溶け込みます。「吟醸香」もよく感じ取れるようになるので、全国新酒鑑評会などにおいて、各蔵からの出品酒が純米大吟醸でなく大吟醸が多いのはこれが理由です。
2.味の切れを良くすること!
醸造アルコールを加えると味がスッキリして淡麗辛口になりやすいのだそうです。
純米酒に比べて、断然飲みやすくなるのです。
そして、吟醸酒の香りの成分はアルコールに溶けやすく、醸造アルコールを添加することで、それまで酒粕に移っていた香りが酒に留まるのです。
そして、重要なのは、吟醸酒・大吟醸酒の高級酒が造られる場合には、添加の量の上限が定められているということ。
上の表での吟醸酒・本醸造酒では白米の重さの10%以下とされており、大吟醸となるとアルコール添加はさらに微量になります。
もともと、増量目的というよりは、品質面への効果が期待されているのです。
これらを見ていくと、現代のアルコール添加は、決して悪いことではないことが明確に分かります。
では、なぜ「純米酒」にこだわる人が居るのでしょう??
それは、かつての「三増酒」の悪いイメージが根強いからではないでしょうか。
私も、父から、学生時代に安くてまずい三増酒を飲まされていたことをよく聞きました。
「三増酒(三倍増醸清酒)」とは、日中戦争で満州に進出した日本人たちが極寒の満州の地でも「凍らない酒」を必要とし、そこで、お酒に大量のアルコールを添加したのがそもそもの始まりだと言われています。
これは、戦後も飲まれ、日本酒が「悪酔いする」「まずい」というイメージになる原因になりました。
けれど、現代は違います!
時代とともに酒蔵さんがとらえる醸造アルコールの意味が、確実に変わっています。
私もまだまだ勉強不足の半人前ですので、この記事で書き足りないことがたくさんあるはずです。
でも、今回どうしてもお伝えしたかったのは、
「醸造アルコールが添加されたお酒は、一昔前と違って決して『悪いお酒』ではない」
ということです。
次に日本酒を飲む際には、是非是非、今回の記事でご紹介したことも一緒に考えながら、日本酒を造る方々のこだわりへ想いを馳せてみていただけたら嬉しいです。